健康になるために毎日食べたい食べ物とは

巷では「これを食べたら健康になれる」「これは体に悪い」といった情報であふれかえっていて、何を食べたらいいのか分からなくなってしまいます。
効果を期待して食べすぎてしまい、逆に体調を崩すなんてことも。
私たちが毎日食べているものは、単にエネルギーとなるわけではありません。体だけではなく心の調子も整えてくれる重要な役割を担っているのです。
食べ物に含まれているあらゆる栄養素は、それだけで働くのではなく、さまざまな栄養素が助け合って体に作用しています。

5大栄養素とは

栄養素は、食物の中に含まれている様々な物質のうち、人間が生きるうえで必要な成分であり、タンパク質、脂質、糖質、ビタミン、ミネラルに分類されます。

体を作るタンパク質

タンパク質は筋肉、内臓、皮膚、血液など体の主要な構成成分。
タンパク質を構成するアミノ酸は20種類あり、そのうち9種類は体内で合成できないため必須アミノ酸と呼ばれています。
そのため、必須アミノ酸は食物から補う必要があるのです。忙しくても手軽に食べられる卵や牛乳、ヨーグルトなどタンパク質豊富な食べ物を常備しておくといいでしょう。

エネルギーとなる炭水化物

毎日、必ず摂りたい栄養素が炭水化物です。炭水化物はご飯やパン、麺類に多く含まれており、エネルギー源となる糖質と、消化・吸収されない食物繊維に分けられます。
糖質は体を動かすエネルギー源となり、肝臓や筋肉に蓄えられます。また、糖は脳の主要なエネルギーとなるので、不足していると集中力が低下したり、イライラしたりすることに。
食物繊維は第6の栄養素とも呼ばれ、消化酵素で分解されない食物中の難消化性成分で、腸内の善玉菌を増やし最近のバランスをコントロールする有益な成分です。

大きなエネルギーとなる脂質

脂質は少量でも多くのエネルギーとなる効率のよいエネルギー源です。
エネルギー源として使われない脂質は体脂肪として蓄えられ、体温の維持や内臓を保護する働きがあります。脂溶性ビタミンのAやD、E、Kなどの吸収を助け、細胞膜やホルモンの主成分にもなります。
脂質を摂りすぎると肥満につながりますが、制限しすぎるとエネルギー不足に。ダイエット中でも適切に摂るようにしましょう。

代謝を助けるビタミン

ビタミンはエネルギーにはなりませんが、タンパク質、脂質、糖質の分解や合成を助ける働きを持ちます。
体内で合成されるビタミンだけでは足りないため、毎日の食事で摂ることが大切です。脂溶性と水溶性の2つに分けられます。
脂溶性ビタミン(A,D,E,K)は油脂に溶けやすく、大量に摂取すると過剰症になる恐れも。水溶性ビタミン(B群、C)は水に溶けやすいため過剰症の心配はほとんどありません。

健康を維持するために必要なミネラル

ミネラルは無機質ともいい、体を構成する元素から酸素、炭素、水素、窒素を除いた総称です。必要なミネラルはカルシウム、鉄、ナトリウムなどの16種類で野菜や果物、海藻、乳製品に多く含まれます。

健康な体を作る毎日食べたい食べ物

和食

1日3食をバランスよく食べるといっても、何を食べたほうがいいのか悩みますよね。ここでは健康な体を作るお勧めの食べ物を紹介します。

玄米や胚芽米

主食となるご飯やパン、麺類は炭水化物を中心としたエネルギーとなるので毎日欠かさず食べましょう。
その中でもおすすめなのが、玄米(もみ殻のみを外してぬかや胚芽を残したお米)や胚芽米(玄米からぬか層を取り除き、胚芽を残したお米)で、白米と比較すると整腸作用のある食物繊維、細胞のもととなるタンパク質、細胞の構成や代謝をよくするミネラル類、抗酸化作用のあるビタミン類など豊富に含まれています。
また、ぬかや胚芽部分には、体内にある免疫細胞のマクロファージを活性化する働きがあるLPS(リポ多糖)が多く含まれています。

緑黄色野菜

緑黄色野菜には、明確な基準が設けられています。原則として可食部100g中に600μg以上のβーカロテンが含まれた野菜のことです。野菜摂取目標量1日350gのうち、120gを緑黄色野菜で占めるのが理想とされています。
緑黄色野菜にはβーカロテン以外にもビタミンCやビタミンK、葉酸、カリウム、食物繊維などが含まれています。さらに鉄やカルシウムなどミネラルも含む野菜もあるので積極的に摂りましょう。
中でもブロッコリーは食物繊維が豊富で抗酸化作用のあるビタミンCがレモンの2倍以上含まれています。健康な体を作るためにぜひ摂りたい野菜です。
ほうれん草も抗酸化作用のあるビタミンCの他、細胞の強化に必須なミネラル類が豊富です。

果物

果物も野菜と同様、ビタミンCや食物繊維、カリウムなどのミネラル、ポリフェノールが豊富に含まれています。これらには抗酸化作用があるといわれ、動脈硬化を予防する効果があると考えられています。
温州ミカンに含まれるβクリプトキサンチンは強力な抗酸化作用があり、皮にはヘスペリジンという成分には中性脂肪を低下させ、血液循環を改善するのなどの作用も。
リンゴに含まれるリンゴポリフェノールやペクチンは脂肪代謝を改善し、炎症を抑える作用があります。
果物には糖分も多く含まれているため、食べ過ぎると中性脂肪の増加につながるので注意が必要です。

青魚

昔から青魚は体にいいといわれています。その理由は青魚がもつDHA、EPAという成分にあります。これらはオメガ3系脂肪酸という油の一種で、脳や心臓、目など全身に存在する成分ですが、体内で作り出すことができず、食事から摂る必要があるため、必須脂肪酸とも呼ばれます。
また、良質なタンパク質で、必須アミノ酸もバランスよく含まれているので積極的に食べたいところです。生魚の調理が大変というなら缶詰を利用してもいいでしょう。

キノコ類

キノコ類はβグルカン(食物繊維の一種)が豊富で、免疫細胞を活性化し、腸内環境を整える効果が期待できます。
その他に、皮膚や粘膜を正常に保つビタミンB2、血流をよくするビタミンB6、免疫機能を調節するビタミンDなど、ビタミンを多く含んでいます。

鶏肉

鶏肉は、牛肉や豚肉に比べ脂質が少なく低カロリーの食材です。中でも鶏ささみ肉や皮をはいだ鶏むね肉は高たんぱく・低脂質・低カロリーで、代謝を助けるビタミンB6など他の部位より豊富だったりします。
疲労回復に有効な成分とされるイミダゾールペプチドも鶏むね肉に豊富に含まれています。

発酵食品

発酵食品とはさまざまな菌などの微生物によって発酵させた食品のこと。消化吸収しやすく、腸内環境を整える成分も豊富です。
ヨーグルトには腸内環境を整える乳酸菌が豊富に含まれています。乳酸菌には多くの種類があり、それぞれ腸への作用も異なります。ヨーグルトの種類を変えてさまざまな乳酸菌を摂取するのもおすすめです。
納豆にはタンパク質や体のさまざまな部分で使われるミネラルの一つである亜鉛、免疫細胞を活性化するサポニンなどが豊富に含まれた食物です。納豆を作る際に必要な納豆菌は胃酸に強く、生きたまま腸まで届き、腸内環境を整える効果もあります。

オリーブオイル

オリーブオイルにはオレイン酸やリノール酸といった健康効果の高い脂肪酸が豊富に含まれています。悪玉コレステロールを減少させることから、動脈硬化の予防にも有効とされています。
肌や筋肉にもよいビタミンAやビタミンEも豊富という優れモノです。
油は開封すると酸化が始まるため、早めに使い切るようにしてください。適量は1日大さじ1~2杯。何にでもかけてしまうと肥満の原因になるので、効果的に摂りましょう。

完璧な食べ物はありません

毎日食べたい食べ物として紹介しましたが、これだけ食べれば完璧という食べ物は存在しません。さまざまな食べ物を適量食べることが基本です。
栄養素は単独で働くのではなく、栄養素同士が関係しあって働きます。効率的に栄養を摂りたいなら、多くの栄養素をバランスよく摂ることが大切で、さまざまな食材を使い食事を楽しめば、自然とバランスよく栄養は摂れます。

控え目にしたい食べ物とは

ポテトチップス

毎日食べたい食べ物について紹介しましたが、反対に控えたい食べ物もあります。脂身の多い肉やお菓子は避けたほうがいいでしょう。
肉は栄養価の高い食べ物ですが、飽和脂肪酸も多く含みます。飽和脂肪酸はエネルギーとなりますが、中性脂肪やコレストロールの原料になり、摂りすぎると肥満や動脈硬化の原因になります。
肉を選ぶ際は、脂身の少ない部位を選びようにしましょう。
お菓子は炭水化物と脂質が高く、カロリーも高めです。まったく食べてはいけないということではありませんが、1日200kcal程度に抑え、栄養価の高いおやつを選ぶといった工夫が大切です。
ヨーグルトや果物、ナッツ類にすると不足しがちなミネラルやビタミンが摂れます。

栄養バランスがよい食事の摂り方とは

健康のためにはまず、1日3食キチンと食事することが大切です。また、主食、主菜、副菜2品、汁物からなる一汁三菜と呼ばれる和食スタイルが理想とされています。
そして、一日の必要摂取量を意識して、カロリーを摂りすぎないように工夫すればほぼ完璧です。
栄養バランスを改善するポイントとしては朝食、昼食、夕食でそれぞれ違うタンパク源を摂ることです。複数のタンパク源を組み合わせることで簡単に栄養バランスがアップします。

毎日食べたい食べ物と、そうでない食べ物について紹介しました。体にいい食べ物を積極的に摂りましょう。ただし、特定の食材ばかりだと、栄養バランスが崩れ体調不良につながってしまいます。
健康な体を作るためにもバランスよく食べることを心がけましょう。
また、食べ過ぎは胃腸に負担をかけてしまい、腸の消化機能が鈍くなり、腸内環境の悪化につながります。そのため、暴飲暴食はせず摂取カロリーを抑えることも大切です。
毎日の食生活の積み重ねが健康な体作りにつながります。